ムカデの毒性と危険性について【専門家執筆】

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目次

ムカデに毒性はある?嚙まれた場合の危険性と対処法について

ムカデは、細長い体と多数の脚を持つ特徴的な見た目の生物です。
落ち葉の下やコンクリートの隙間などに潜んでいることが多く、遭遇することは多くないかも知れません。

しかし、種によっては強い毒を持っており、噛まれると激しく痛んだり、腫れなどの症状が現れる場合があります。
まれに急性のアレルギー症状を起こす可能性もあります。

そこでこの記事では、国内に生息するムカデのうち、特に危険なトビズムカデとアオズムカデという2種類について、その危険性や、危険にあった時の対処法、危険を防ぐための対策などを紹介します。

 

この記事を執筆した専門家

tk_tanaka【プロフェッショナル】

生物系大学院卒業後、自然環境系の建設コンサルタントに従事。
地理情報、自然環境や生物の生態等を専門とするほか、環境アセスメント図書作成の経験も有する生物環境分野の専門家。

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ムカデの基本情報

ムカデは、細長い体と多数の足を持つ節足動物です。

日本国内には100種類以上のムカデが確認されていて数cm程度〜数十cmまで大きさは様々です。
多数の体節が連なった形状をしていて、その節から2本の脚が伸びる特徴的な見た目をしています。

国内に生息するムカデのうち、強い毒を持っており特に危険な種はトビズムカデとアオズムカデという2種類です。
この記事では、この2種について紹介します。

トビズムカデは、体長8cm〜15cmと大型のムカデで、国内最大級の大きさです。
体色は個体によって様々ですが、基本的に、頭部が赤色、脚は黄色、その他の体の部分が黒っぽい色をしていることが多いです。

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アオズムカデは、体長が最大で10cm程度と、やや小さいムカデです。
トビズムカデと異なり頭と体が同じ色をしているのが特徴で、暗緑色をしています。
脚は赤色や黄色の場合がありますが、先の方は緑や青系統の色に変わります。

 

動きは、一般的なムカデ同様、素早く動くことができ、細長い体の特徴を活かして小さな隙間や物陰を移動することも得意です。
また、垂直の壁や天井を歩くことも可能です。

肉食性で、主に昆虫やクモ、ミミズ、甲殻類などを捕食します。
ネズミなど小型の哺乳類や両生類も捕食することもあるようです。

そして、捕食する際には、噛みつき毒を注入し、麻痺させてから食べます。

 

遭遇する地域や環境

トビズムカデ、アオズムカデともに、日本国内に広く生息しています。

生息環境はほぼ同じで、主に森林や草地、住宅周辺の石垣や木材、土の中、倒木の下、コンクリートの隙間などに生息しています。
餌となる昆虫などがいる場合は、住宅内に侵入してくる場合もあります。

このように広い環境で見られる可能性がありますが、どちらの種も湿気がある場所を好む傾向があります。
そのため、特に、落ち葉の下などに潜んでいることが多いです。

 

遭遇する時期や時間帯

トビズムカデ、アカズムカデともに夜行性のため、夜間に活発に活動します。
昼間の時間は、暗く湿った場所で休んでいることが多いです。

どちらの種も、春から秋の暖かい時期に活発に活動します。
冬季には基本的に冬眠しますが、温かい地域や室内であれば、年間を通して活動します。

 

ムカデの危険性

トビズムカデとアオズムカデの危険性は「噛みつかれること」です。
どちらの種も毒を持っており、鋭い毒ヅメで噛みつき、毒を注入してきます。

噛まれると、強い痛みや痒み、腫れなどの症状が現れることがあります。
ただし、人間にとっては命にかかわるほどの強い毒ではありません。

このように噛まれると毒による被害を受ける危険性がありますが、どちらも攻撃的でなく、基本的におとなしい性格であるため、積極的に噛み付いてくるようなことはありません。

しかし、危険を感じたりすると噛みつくことがあります。
人間から攻撃をしたり非常に近づいた場合や、たまたま手をついたところにムカデが潜んでいた場合などに噛みつかれる恐れがあります。

なお、アオズムカデのほうが強い毒を持っており、噛まれたときの痛みはより激しいとされています。

 

危険にさらされたときの対処法

トビズムカデとアオズムカデに噛まれた場合は、毒により強い痛みを感じ、赤く腫れ上がります。

ただの切傷と違い、毒による症状であるため、対処法には注意が必要です。
直ぐに、以下のような対処を行いましょう。

  • きれいな水で洗浄し、可能であれば消毒しましょう。温かい水だと毒の回りが早くなる可能性があるため、冷たい水を使用します。
  • 洗浄後、消毒薬を用いて患部を消毒します。
  • その後の経過を観察する。

ムカデに噛まれたことによる症状は、一般的に数時間から1日程度続く場合があります。
もし、それ以降も腫れがひかない場合や、逆に症状が悪化した場合は、速やかに病院で診察してもらうのが望ましいです。

他にも、「アナフィラキシー・ショック」に注意が必要です。
上で説明したとおり、トビズムカデとアオズムカデの毒は、人間にとっては命にかかわるほどの強い毒ではありません。

しかし、まれにアナフィラキシー・ショックという急性のアレルギー反応が起こる場合があります。
アナフィラキシー・ショックになると、激しい蕁麻疹や、血圧の低下、失神などの重い症状が現れ、命にかかわる場合があります。
もし、このような症状が発生した場合は、救急車を呼び医療機関で対処してもらう必要があります。

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危険を防ぐための対策

トビズムカデとアオズムカデの危険を防ぐための最も効果的な対策は「素手で触らないこと」です。

ムカデはわずかな隙間にも入り込むことができるため、ふとしたところで出会う可能性があります。
「公園などで座って手をついていたら近くにムカデが歩いていた」といったこともありがちです。

また、餌となる昆虫類がいる場合は、住宅の中に入り込む場合もあります。
家の作りによっては、「部屋の中にムカデが歩いていた」という状況も起こりえます。

そのような場合に、素手で遠くに追いやろうとすると、噛まれる危険性が高まります。
素手で触るのは絶対に避けましょう。

駆除したい場合は、ムカデ用の殺虫剤があればそれを使用します。
なければ、新聞紙やスリッパなどを使用して距離をとって攻撃します。

ムカデがいそうなところで草刈りなどの作業をする必要がある場合は、分厚い手袋を使用すると噛まれる危険を防ぐことができます。

 

まとめ

本記事では、ムカデの中で特に危険なトビズムカデとアオズムカデについて、その危険性や、危険を防ぐための対策などをまとめました。
説明した内容をまとめると以下の通りです。

  • 両種とも大型のムカデ。特にトビズムカデは日本最大級の大きさ
  • 隙間などに隠れていることが多く不意に出会う可能性がある
  • 両種とも強い毒を持ち、噛まれると激しく痛む
  • 急性のアレルギー症状が発生した場合は救急車を呼ぶこと

どちらの種も、毒を持っており、噛まれると強い痛みや腫れなどの症状が出て危険です。
細長い体に多数の脚を持つムカデは、あまり積極的に捕まえたくなる種ではないかも知れません。
しかし、その特徴を活かし、僅かな隙間に入り込んだムカデに突然出会う可能性があります。

もし、トビズムカデとアオズムカデに噛まれた場合の対処法は「水で洗浄し、消毒すること」です。
万が一、急激なショック反応があった場合は、至急救急車をよんで医療機関に向かいましょう。

 

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この記事を書いた人

【プロフェッショナル】(生物・環境)
生物系大学院卒業後、自然環境系の建設コンサルタントに従事。
地理情報、自然環境や生物の生態等を専門とするほか、環境アセスメント図書作成の経験も有する生物環境分野の専門家。
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