ヒョウモンダコとオオマルモンダコに違いはある?見た目や毒の種類など違いを解説
日本には、ヒョウモンダコとオオマルモンダコという猛毒を持つ小型のタコが生息しています。
どちらも、噛まれると生命にかかわる重篤な症状が引き起こされる可能性があります。
そこでこの記事では、危険性や危険にあった時の対処法などについて、ヒョウモンダコとオオマルモンダコの違いがわかるように紹介します。
この記事を執筆した専門家
生物系大学院卒業後、自然環境系の建設コンサルタントに従事。
地理情報、自然環境や生物の生態等を専門とするほか、環境アセスメント図書作成の経験も有する生物環境分野の専門家。
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ヒョウモンダコとオオマルモンダコの基本情報
ヒョウモンダコとオオマルモンダコは、ともに「タコ目マダコ科ヒョウモンダコ属」というグループの属している非常に近縁のタコです。
以下のような違いや似ているところがあります。
色・見た目
ほとんど同じで、どちらも警戒色となる特徴的な青色の模様を持っています。
模様に大きな違いはありませんが、ヒョウモンダコは「輪だけでなく線の模様がある」のに対し、オオマルモンダコは「輪っか模様」のみです。
なお、一般的なタコと同様、体色は周囲の環境などによってさまざまに変化します。
砂や岩場ではほとんど灰色一色になったり、サンゴ礁では明るい色に変化したりして、周囲と一体化することができます。
そして、刺激を受けたり危険を感じた場合などには、青色の模様が鮮やかに輝き始めます。
大きさ
ヒョウモンダコは「10cm程度」、オオマルモンダコは「12cm程度」とされています。
野生環境で発見した場合、ほとんど違いを感じないと思われます。
なお、これらのサイズは「体調」で、長い脚も含んだサイズです。
頭(本体部分)のサイズは3cm程度とかなり小型です。
運動能力
どちらも一般的なタコと同様、水中を泳いだり、海底を素早く這って移動したりします。
また、周囲の岩や海藻、砂礫などにとどまっていることも多いようです。
食性
どちらも一般的なタコと同じく肉食性で、小さな甲殻類(貝、カニ、エビなど)や小さな魚類などを捕食します。
捕食する際には、獲物を素早く捕まえ、噛みつき毒を注入し、麻痺させてから食べます。
遭遇する地域や環境
ヒョウモンダコとオオマルモンダコはどちらも温暖な地域に分布します。
日本国内での生息地域は少し異なっていて、オオマルモンダコは南西諸島と小笠原諸島でのみ確認されているのに対し、ヒョウモンダコは日本海側では福井県、太平洋側では千葉県などでも確認された事例があります。
ヒョウモンダコは、温暖化による海水温の上昇に合わせて生息域を北方に拡張していると報告されています。
生息環境は同じで、浅い海域の岩場や砂礫、サンゴ礁などで確認されることが多いです。
ヒョウモンダコやオオマルモンダコが生息している地域では、磯遊びをしていて、石を動かしたら潜んでいる個体が見つかることもあります。
遭遇する時期や時間帯
ヒョウモンダコは日中に活動するのに対し、オオマルモンダコは夜行性とされています。
ただし、一般的にタコは夜行性と言われており、ヒョウモンダコは夜間にも活発に活動する可能性はあります。
また、活動する時間帯であっても、基本的に岩陰などに潜んでいることが多いと考えられます。
冬眠は行わず、生息に適した環境であれば1年中活動します。
ただし、水温が10℃前後より低くなると、衰弱して死んでしまうようです。
危険性
ヒョウモンダコ、オオマルモンダコともに危険性は「噛まれること」です。
どちらも猛毒(テトロドトキシン)を持っており、ヒョウモンダコに噛まれて人間が死亡した事例もあります。
噛まれて数分後より、しびれや吐き気、視覚障害、筋力低下といった神経毒による症状が発生します。
重症の場合、呼吸不全や意識喪失といった重度の症状が引き起こされます。
ただし、どちらも攻撃的な生物ではないため、積極的に噛み付いてくるようなことはありません。
危険にさらされたときの対処法
ヒョウモンダコ、オオマルモンダコに噛まれた場合、直ぐに以下のような対処を行いましょう。
– 噛まれた場所よりも体に近い場所を縛り、毒が回るのを防ぐ。
– 「救急車を呼んで安静にする」か「急いで病院に向かう」
– 病院に行くまでに時間がかかる場合は、噛まれた部位周辺を押すなどして毒を絞り出す。
症状の有無に拘らず、「安静にして病院に行くこと」が最も大切です。
毒を絞り出すのは、病院で診察するまでに時間がかかる場合などに行うだけでも良いようです。
なお、毒を絞り出すために、口を使って吸い出すのは絶対にやめましょう。
飲み込んでしまう可能性があり大変危険です。
危険を防ぐための対策
ヒョウモンダコ、オオマルモンダコの危険を防ぐための最も効果的な対策は「素手で触らないこと」です。
どちらも、岩礁や砂礫、サンゴ礁等、隠れる場所が多い浅い海に生息しています。
普段は、石の影などに潜んでいることが多いです。
ヒョウモンダコやオオマルモンダコが生息している地域で、磯遊び等をする場合は、しっかりと注意しておくことが大切です。
まとめ
本記事では、ヒョウモンダコとオオマルモンダコの生態や危険性などを説明しました。
内容をまとめると以下の通りです。
– どちらも浅い海の岩やサンゴ、海藻の隙間などに潜んでいる10cm前後の小型のタコ
– どちらも特徴的な青い模様を持つ
– ヒョウモンダコは、南西諸島から福井県や千葉県まで確認事例がある
– オオマルモンダコは、南西諸島や小笠原諸島でのみ確認されている
– どちらもフグ毒と同じ成分の猛毒を持ち、噛まれると大変危険
– 噛まれた場合は、早急に病院で診察すること
小型のタコですが、猛毒を持っており、噛まれると呼吸困難など命にかかわる程の症状が出て大変危険です。
特徴的で綺麗な見た目ですが、素手で触れることは、絶対にやめましょう。
もし、ヒョウモンダコやオオマルモンダコに噛まれた場合の対処法は「至急、病院を受診すること」です。
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