ヒョウモンダコに毒性はある?毒の種類は?嚙まれた場合の危険性と対処法について
ヒョウモンダコは、大きくても10cm程度の小型のタコです。
体色は環境により様々に変化しますが、刺激を受けると青色のまだら模様に変化します。
主に西日本の浅い海に生息しており、磯遊びをしたり、浅瀬で泳いだりしている時に遭遇する可能性があります。
サイズは小さいですが、フグ毒と同じ猛毒「テトロドトキシン」を持っており、噛まれると非常に危険です。
しびれや吐き気、視覚障害などの神経毒特有の症状が発生します。
さらに、呼吸不全や意識喪失といった重度の症状が引き起こされることもあり、人間が死亡した事例もあります。
そこでこの記事では、ヒョウモンダコについて、その危険性や、危険にあった時の対処法、危険を防ぐための対策などを紹介します。
この記事を執筆した専門家
生物系大学院卒業後、自然環境系の建設コンサルタントに従事。
地理情報、自然環境や生物の生態等を専門とするほか、環境アセスメント図書作成の経験も有する生物環境分野の専門家。
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ヒョウモンダコの基本情報
ヒョウモンダコは、大きくても10cm程度の小型のタコです。
特徴的な青色の輪や線の模様を持っており、これが「豹紋(ヒョウモン)」に見えることが種名の由来です。
ただし、一般的なタコと同様、体色は周囲の環境などによってさまざまに変化します。
砂や岩場ではほとんど灰色一色になったり、サンゴ礁では赤や黄色の明るい色に変化したりして、周囲と一体化することができます。
しかし、どのような環境でも、刺激を受けたり危険を感じた場合などには、青色の輪っかや線の模様が鮮やかに輝き始める特徴があります。
動きは一般的なタコと同様、水中を泳いだり、海底を素早く這って移動したりします。
また、周囲の岩や海藻、砂礫などにとどまっていることも多いようです。
食性も一般的なタコと同じく肉食性で、小さな甲殻類(貝、カニ、エビなど)や小さな魚類などを捕食します。
捕食する際には、獲物を素早く捕まえ、噛みつき毒を注入し、麻痺させてから食べます。
遭遇する地域や環境
ヒョウモンダコは、温暖な地域に生息しています。
日本国内での本来の生息地域は、南西諸島や小笠原諸島ですが、海水温の上昇に合わせて生息地域が北上しています。
現在では、日本海側では福井県、太平洋側では千葉県などでも確認された事例があります。
そして、この傾向は今後も続くと考えられており、さらに生息域が北に広がっていく可能性があります。
生息環境は、浅い海で、海域の岩場や砂礫、サンゴ礁などで確認されることが多いです。
ヒョウモンダコが生息している地域では、磯遊びをしていて、石を動かしたらヒョウモンダコが見つかることもあります。
遭遇する時期や時間帯
ヒョウモンダコは、主に日中に活動します。
夜間は岩等に張り付いて寝ているところを発見されることがあります。
冬眠は行わず、生息に適した環境であれば1年中活動します。
ただし、水温が10℃前後より低くなると、衰弱して死んでしまうようです。
逆に言うと、冬季の海水温がそれよりも高い地域であれば、真冬の海でもヒョウモンダコが活動している可能性があります。
ヒョウモンダコの危険性
ヒョウモンダコの危険性は「噛みつかれること」です。
毒を持っており、噛みつくと毒を注入してきます。
毒は非常に強く、フグ毒としてしられる猛毒「テトロドトキシン」を含みます。
ヒョウモンダコに噛まれて、人間が死亡した事例もある程、危険な毒です。
噛まれることによる痛みは強くなく、痛み自体を感じないことも多いそうです。
しかし、噛まれて数分後より、しびれなどの症状が発生します。
そして、吐き気、手足の痙攣、視覚障害、舌や唇の感覚喪失、筋力低下などの症状が発生します。
さらに、呼吸不全や意識喪失といった重度の症状が引き起こされることもあり得ます。
重症の場合、15分程度で呼吸の麻痺が発生し始め、90分程度で呼吸困難になり死亡する場合があるようです。
このように、噛まれて毒を注入されると、非常に重篤な症状が発生する可能性があります。
ただし、ヒョウモンダコの毒の強さは個体差が大きいです。
猛毒テトロドトキシンが比較的少量しか含まれておらず嚙まれてもほとんど影響がない場合もある一方で、死亡に繋がる程の猛毒を持つ個体もあります。
以上のように、ヒョウモンダコに噛まれると毒による被害を受ける危険性がありますが、攻撃的な生物ではないため、積極的に噛み付いてくるようなことはありません。
しかし、危険を感じたりすると噛みつくことがあります。
興味本位で捕まえようとしたり、磯遊びをしていたらたまたまヒョウモンダコが潜んでいるところを触ってしまった場合などに噛みつかれる恐れがあります。
危険にさらされたときの対処法
ヒョウモンダコに噛まれた場合、噛まれた直後には大きな痛みを感じない場合が多いです。
しかし、毒により、徐々にさまざまな影響が出始めます。
直ぐに、以下のような対処を行いましょう。
– 噛まれた場所よりも体に近い場所を縛り、毒が回るのを防ぐ。
– 「救急車を呼んで安静にする」か「急いで病院に向かう」
– 病院に行くまでに時間がかかる場合は、噛まれた部位周辺を押すなどして毒を絞り出す。
症状の有無に拘らず、「安静にして病院に行くこと」が最も大切です。
毒を絞り出すのは、病院で診察するまでに時間がかかる場合などに行うだけでも良いようです。
なお、毒を絞り出すために、口を使って吸い出すのは絶対にやめましょう。
飲み込んでしまう可能性があり大変危険です。
危険を防ぐための対策
ヒョウモンダコの危険を防ぐための最も効果的な対策は「素手で触らないこと」です。
ヒョウモンダコは、浅い海に生息しています。
特に岩場や砂や小石が混ざっている海底、サンゴ礁等、隠れる場所が多いところに生息しています。
普段のヒョウモンダコは、水中を泳ぐのではなく石の影などに潜んでいることが普通です。
海で遊んでいる時に、「石を動かしたらヒョウモンダコが隠れていた」ということは十分にあります。
危険を感じると、鮮やかな青色の模様が出現します。
特徴的で綺麗な見た目なので、ヒョウモンダコを見つけた子どもが、素手で捕まえてしまう可能性も高いです。
ヒョウモンダコが生息している地域で、子ども達が磯遊びをする場合は、しっかり注意しておくことが大切です。
また、ヒョウモンダコの本来の生息地域は南西諸島など温暖な海域ですが、温暖化による海水温の上昇に合わせて、分布が北上している傾向があります。
ヒョウモンダコの生息情報が無かったとしても、似たようなタコを見つけたときには素手で触るのは絶対にやめましょう。
まとめ
本記事では、ヒョウモンダコについてその危険性や、危険を防ぐための対策などをまとめました。
説明した内容をまとめると以下の通りです。
– 浅い海に生息する10cm程度の小型のタコ
– 岩や海藻の隙間などに潜んでいることがある
– 特徴的な青い輪や線の模様を持っている
– 死亡例がある程の猛毒を持ち、噛まれると大変危険
– 噛まれた場合は、早急に病院で診察すること
小型のタコですが、猛毒を持っており、噛まれると呼吸困難など命にかかわる程の症状が出て大変危険です。
刺激を受けると、青い輪や線の模様が出現してとても目立ちます。
特徴的で綺麗な見た目ですが、素手で触れることは、絶対にやめましょう。
もし、ヒョウモンダコに噛まれた場合の対処法は「至急、病院を受診すること」です。
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