カツオノカンムリとカツオノエボシの違いとは?【専門家執筆】

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目次

カツオノエボシとカツオノカンムリに違いはある?危険性や生態の違いなどを解説

カツオノエボシとカツオノカンムリは、毒を持つクラゲのような生物です。
どちらも、触手に触れると激しい痛みが走ります。
泳ぐ力はなく、普段は海面を漂流しているだけですが、強い風に吹かれ海岸に漂着することがあります。

そこでこの記事では、危険性や危険にあった時の対処法などについて、カツオノエボシとカツオノカンムリの違いがわかるように紹介します。

 

この記事を執筆した専門家

tk_tanaka【プロフェッショナル】

生物系大学院卒業後、自然環境系の建設コンサルタントに従事。
地理情報、自然環境や生物の生態等を専門とするほか、環境アセスメント図書作成の経験も有する生物環境分野の専門家。

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カツオノエボシとカツオノカンムリの基本情報

カツオノエボシとカツオノカンムリは、ともに「ヒドロ虫綱」という分類に属する生物です。
ミズクラゲやエチゼンクラゲといったいわゆる「クラゲ」とは、分類上大きく異なります。
哺乳類と両生類、鳥類くらいの違いがあります

また、カツオノエボシは「クダクラゲ目」、カツオノカンムリは「ハナサンゴ目」という分類で、「トンボ」と「バッタ」、「チョウ」くらいの違いがあります。
以下のような違いや似ているところがあります。

 

色・見た目

どちらも一部が青や紫がかった透明な見た目をしています。

基本的な構造も似ている部分が多く、どちらも「水に浮くための部分」と「帆の役割がある透明な出っ張り」を持ちます。
そして、その下側に「触手」が存在します。

「水に浮くための部分」は、カツオノエボシが浮き袋状であるのに対し、カツオノカンムリは小さな気泡が含まれた円盤状の構造です。

 

大きさ

「水に浮くための部分」は、カツオノエボシは「10cm程度」、カツオノカンムリは「5~10cm程度」とカツオノカンムリの方がやや小さめです。
最も違うのは「触手」の長さで、カツオノエボシは非常に長く最大50メートル、カツオノカンムリは非常に短く数ミリ程度です。
「帆状の出っ張り」には大きな違いはありません。

 

運動能力

どちらも遊泳力はほとんどなく、普段は海面を漂流しています。
強い南風が吹いた場合などには、海岸近くまで運ばれてきたり、場合によっては打ち上げられることもあります。

 

食性

どちらも触手の毒で、獲物を麻痺させて捕食します。
カツオノエボシは「小型の魚や甲殻類」、カツオノカンムリは「プランクトン」を捕食します。

 

遭遇する地域や環境

カツオノエボシ、カツオノカンムリともに、海域に広く生息しています。
日本には暖流にのって南方から移動してくるため、日本国内では主に太平洋沿岸でよく発見されています。

 

遭遇する時期や時間帯

カツオノエボシ、カツオノカンムリともに、主に夏季に日本付近に現れます。
本州などで発見されるのは、初夏(5月くらい)から9月くらいまでで、沖縄県では秋でも見られることがあるようです。

遭遇する時間帯は、潮流や風などの自然条件により変わります。

 

危険性

カツオノエボシ、カツオノカンムリともに危険性は「触手に触れること」です。
どちらも、触手の表面に「刺胞」という組織が分布しており、接触すると小さな毒針が発射される仕組みになっています。
毒針に刺されると、強い痛みが走ります。
また、「岸に打ち上げられて乾燥した個体」でも、触手に触れると毒針を発射される可能性があります。

カツオノエボシの方が毒が強く、電気ショックを受けたような衝撃だと言われます。
しかも、触手が非常に長いため「気付かないうちに、カツオノエボシの触手の近くを泳いでいた」ということが起こる可能性があります。

 

危険にさらされたときの対処法

カツオノエボシ、カツオノカンムリの触手に触れてしまった場合、直ぐに以下のような対処を行いましょう。
– 海上で刺された場合は急いで岸に戻る
– 「海水」で触手を洗い落とす。真水だと毒が体内に入りやすくなる厳禁
– 毒を無力化するため、40~45℃程度の温水で患部を数分程度温める
– 氷や冷水で冷やし、病院に向かう

思わず手でこすったりしてしまうと、毒針が深く入り込む可能性があり逆効果です。
なお、酢の刺激に反応し、毒針が発射されてしまいます。刺されたときに酢を掛けることが推奨されるのは「ハブクラゲ」という毒クラゲの場合です。

 

危険を防ぐための対策

カツオノエボシ、カツオノカンムリの危険を防ぐための最も効果的な対策は「直接触れないこと」です。
岸に打ち上げられた個体であっても、毒針が機能している可能性があるため、直接触れなてはいけません。

触手が非常に長いカツオノエボシの場合、海上で触手に接近してしまう可能性があります。
しかし、海上ではその体色のため事前に発見するのは難しいです。
遭遇する確率を減らすため、海に入るときには以下のような対策が有効です。
– 事前に「カツオノエボシの発生情報」を確認する
– 海水浴場では「クラゲ防止ネット」を設置している場所を選ぶ
– ダイビングなどの場合は、ウェットスーツやラッシュガードなどを着用する
– 1人で行動しない。1人だと痛みでパニックになってしまうと大変危険

 

まとめ

本記事では、カツオノエボシとカツオノカンムリの生態や危険性などを説明しました。
内容をまとめると以下の通りです。
– どちらも夏場に日本付近に漂流してくる
– どちらも触手に毒針を持っており、触れると激しい痛みが走る
– カツオノエボシの方が毒が強く危険
– カツオノエボシは触手が非常に長いため海中で絡まる可能性がある
– 刺された場合は「海水」で洗い流し病院で診察すること

触手に毒針を持っており、触れると激しい痛みが走ります。
特にカツオノエボシは毒が強く、触手が非常に長いため危険です。
また、岸に打ち上げられた個体であっても、毒針が機能している場合があるので、素手で触れることは、絶対にやめましょう。
もし、カツオノエボシやカツオノカンムリに触れた場合の対処法は「海水で触手をはがし、病院を受診すること」です。

 

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