マルチビタミンの危険性について【薬剤師執筆】

※当記事には一部広告が含まれます。プライバシーポリシー

目次

マルチビタミンに副作用や取り過ぎた場合の危険性はある?

人間の生活に必須なビタミンをまとめて補充することができるサプリメントとして、インターネット上で注目されているサプリメントの一つにマルチビタミンがあります。日頃食事のバランスを気にすることができないくらい忙しい方や健康をとても気にされている方には、気になるサプリメントです。この記事では、マルチビタミンの成分は本当に安全なのか、効果は本当にあるのかということについて解説していきたいと思います。

 

この記事を執筆した専門家

あなたのweb薬剤師

薬剤師、オンライン薬剤師、メディカルライター
病棟や外来での患者対応、臨床研究、書籍執筆、新人薬剤師や看護師の教育にも従事

→ この専門家に仕事を依頼する

 

マルチビタミンについて

マルチビタミンとは、1日に必要なビタミンを一粒に配合したサプリメントのことです。マルチビタミンに含まれることの多いサプリメントとしては、ビタミンAやビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンC、ビタミンEなどがあります。サプリメントによっては、含まれているビタミンの成分が異なるため、サプリメントの成分表を確認することが重要です。

各ビタミンの役割について

ビタミンは成分毎にそれぞれの役割があります。各ビタミンにどのような役割があるのかを見ていきましょう。

ビタミンA

ビタミンAは、視力、皮膚、粘膜、免疫機能の維持に必要な栄養素です。特に、視覚細胞の光受容体であるロドプシンの構成要素であるレチナールを合成するために必要です。また、皮膚や粘膜の健康を維持するためにも必要であり、免疫機能の維持にも関与しています。

ビタミンB1(チアミン)

ビタミンB1は、エネルギー代謝に必要な栄養素であり、糖質、脂質、タンパク質の代謝を促進します。また、神経機能の維持にも必要です。

ビタミンB2(リボフラビン)

ビタミンB2は、エネルギー代謝に必要な栄養素であり、細胞呼吸に関与しています。また、視覚の維持にも必要です。

ナイアシン

ナイアシンは、エネルギー代謝に必要な栄養素であり、糖質、脂質、タンパク質の代謝を促進します。また、皮膚や粘膜の健康維持にも関与しています。

パントテン酸

パントテン酸は、エネルギー代謝に必要な栄養素であり、コエンザイムAの構成要素となります。また、神経機能の維持やホルモン合成にも必要です。

ビタミンB6(ピリドキシン)

ビタミンB6は、エネルギー代謝に必要な栄養素であり、糖質、脂質、タンパク質の代謝を促進します。また、神経機能の維持やヘモグロビンの合成にも必要です。

ビタミンB12(コバラミン)

ビタミンB12は、エネルギー代謝に必要な栄養素であり、細胞分裂や神経機能の維持にも必要です。また、赤血球の形成にも関与しています。

葉酸

葉酸は、細胞分裂やDNA合成に必要な栄養素であり、妊娠初期には神経管閉鎖障害の予防にも役立ちます。

ビオチン

ビオチンは、脂質や炭水化物の代謝に関与し、皮膚、髪、爪の健康維持にも必要です。

ビタミンC

ビタミンCは、抗酸化作用を持ち、細胞のダメージを防ぐための栄養素です。また、コラーゲンの合成に必要であり、皮膚、骨、軟骨、歯、筋肉などの組織の健康維持にも関与しています。さらに、免疫機能の維持にも必要です。

ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収を促進するために必要な栄養素です。骨形成にも重要な役割を果たしています。また、免疫機能の維持にも関与しています。

ビタミンE

ビタミンEは、抗酸化作用を持ち、細胞膜の保護や血管の健康維持に必要な栄養素です。また、免疫機能の維持にも関与しています。

ビタミンK

ビタミンKは、血液凝固に必要な栄養素です。また、骨形成にも関与しています。

ビタミンを補充することで、これらの本来の役割を果たすことができ、健康の増進に貢献することができます。

ただし、サプリメントは原則的に食品であるため、薬のように効果や効能を宣伝することができません。各ビタミン成分もあくまでもサプリメントであるため、効果を記載することができないのは当然です。
サプリメントの中でも機能性表示食品と呼ばれるものに分類されておりますので、各成分が持つ機能は表示して良いこととなっています。

安全性は問題がなく、大丈夫なのか?

ビタミンは体が必須としている栄養素であるため、基本的に安全性は高いと考えられています。一方、どんな成分でもそうですが、過ぎたるは及ばざるが如しと言われるように、過剰な摂取は問題が生じます。特にビタミンの中でもビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKは脂溶性ビタミンといわれ、過剰症があります。各成分の過剰症をみていきましょう。

ビタミンA

ビタミンA過剰症の症状には、頭痛、吐き気、皮膚の乾燥やかぶれ、口内炎、骨や関節の痛み、神経障害、肝臓機能障害などがあります。また、食欲不振、めまい、嘔吐、脱毛、皮膚の黄変なども現れることがあります。通常、長期間にわたって高用量のビタミンAを摂取した場合に発生することがあります。

ビタミンD過剰症

ビタミンD過剰症の症状には、体のカルシウムの上昇による不快な症状が含まれます。具体的な症状には、吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、多尿、脱力感、筋肉の不快感や痛み、骨の脆化、頭痛、めまい、意識障害などがあります。通常、長期間にわたって過剰なビタミンDを摂取した場合に発生することがあります。

ビタミンE過剰症

ビタミンE過剰症の症状は比較的まれであり、通常は過剰なサプリメント摂取によるものです。症状には、消化器系の問題(下痢、腹痛)、筋肉の衰弱、疲労感、出血傾向、血液凝固の異常、頭痛、吐き気、皮膚のかゆみや発疹が含まれます。他の脂溶性ビタミンと同様に、長期間にわたって過剰なビタミンEを摂取した場合に発生することがあります。

ビタミンK過剰症

ビタミンK過剰症は一般的に稀でありますが、サプリメントの過剰摂取や長期間の高用量摂取によって発生する可能性があります。症状には、血液凝固の異常や血栓形成のリスク増加が含まれます。この状態では、出血時間が延長し、出血量が増加する可能性があります。

マルチビタミンの価格

Amazonや楽天などのオンラインショップでは、1日あたり10-20円程度で販売されているマルチビタミンが一般的であり、比較的安価に手にいれることができるサプリメントです。マルチビタミンはビタミンを合わせたサプリメントであるため、価格により各ビタミンの品質が変化することは考えにくいです。そのため、「高額なマルチビタミン=成分として優れている」というわけではないため、相場とはかけ離れて高価なマルチビタミンの購入は費用対効果の観点からあまりおすすめできません。
1日あたりのビタミン摂取量が適正な量であるかは確認した方が良いでしょう。外国製で格安なものは、日本の基準に合致していない可能性もあるため、注意が必要です。

まとめ

マルチビタミンはビタミンAやビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンC、ビタミンEなどを含むビタミンのサプリメントです。
あくまでも食品ではありますが、機能性表示食品として、各ビタミン剤の体の中での機能を表示することができます。効能や効果ではありませんが、使用する際には参考にすると良いと考えられます。
マルチビタミンは、適切な量を摂取する場合には健康上の問題はないと予想されます。一方、体が本来必要としている以上の量を摂取した場合には、頭痛、吐き気、嘔吐、食欲不振、めまいなどのリスクがあるため、使用にあたっては注意が必要です。もし購入する場合は、このようなリスクを考慮したうえで試されると良いでしょう。


【PR】FANCL公式ショップ 楽天市場店

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

【プロフェッショナル(薬学・サプリメント)】
薬剤師、オンライン薬剤師、メディカルライター
病棟や外来での患者対応、臨床研究、書籍執筆、新人薬剤師や看護師の教育にも従事
→ この専門家に仕事を依頼する

目次