マルトデキストリンの安全性と危険性とは?使っても大丈夫?
筋トレを行う際に効率的に炭水化物を摂取できるとして、インターネット上で注目されているサプリメントの一つとしてマルトデキストリンがあります。筋トレを行うの際などに効率的に炭水化物が摂取できるのであれば、筋トレをしている方には夢のようなサプリメントですよね。この記事では、マルトデキストリンの成分は本当に安全なのか、効果は本当にあるのかということについて解説していきたいと思います。
マルトデキストリンについて
マルトデキストリンは、ブドウ糖の一つで代表的なグルコースがいくつか繋がったものです。生成方法は、植物の光合成によって作られる炭水化物(多糖類)であるデンプンから酵素によって生産されます。アメリカではトウモロコシ由来のデンプンが用いられることが多く、ヨーロッパでは小麦由来のデンプンが用いられることが多いです。
マルトデキストリンの効果について
一般的に「運動時のエネルギー補給に良い」「トレーニングの効果アップに良い」などと言われていて、マルトデキストリンの販売でもこれらの効果があるように宣伝されています。一方、人での有効性については情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらないと言われており、効果が明確に証明されている訳ではなく、理論的に考えてそのような効果が期待されているという部分に注意が必要です。
しかし、これはサプリメントとしては一般的なことです。サプリメントは原則的に食品であるため、薬のように効果や効能を宣伝することができません。マルトデキストリンもあくまでもサプリメントであるため、効果を記載することができないのは当然です。
販売サイトでは、「〜〜と考えられています」や「〜〜と言われています」などの断定的ではない文言で書かれていることが多く、ホームページ等に記載されている文章をしっかりと読むことが大切です。この特徴も医薬品ではないサプリメントでよく行われている宣伝方法です。
マルトデキストリンと難消化デキストリンの違いについて
同じデキストリンという言葉が付いていて、区別がつきにくいものとして難消化デキストリンと言われるものがあります。この2つは名称が似ているものの、使用用途が全く異なる点で注意が必要です。
難消化デキストリンは名称の通り、消化がされにくいデキストリンです。消化とは体に吸収することを示す医学用語であります。難消化デキストリンはデンプン由来の食物繊維であり、吸収されにくいことで血糖値急上昇を防ぐ為に、サプリメントとして使用されている成分です。この難消化デキストリンは吸収されにくいため、筋トレの後に使用しても吸収されなく、効果がありません。インターネット等で成分を調べる際にも二つの情報を混同しないように注意が必要です。
安全性は問題がなく、大丈夫なのか?
マルトデキストリンの構造はグルコースがいくつも繋がったものですので、本来は体が必要としている成分ですので、特に国内が製造し明記されている場合には、安心できると思います。マルトデキストリン自体は医薬品の添加物として使用されることがあり、欧州食品安全機関(EFSA)では知られていない安全性上の心配はないとされています。
一方、どんな成分でもそうですが、過ぎたるは及ばざるが如しと言われるように、マルトデキストリンの過剰な摂取は問題が生じます。そのいくつかを見ていきましょう。
血糖値の過剰な上昇
マルトデキストリンは摂取後速やかに吸収され、急激に血糖値を上昇させます。確かに、運動をして血糖値が低下した後には血糖値を急激に上昇させることは必要とされる場合もあります。その一方で、血糖値が低下していないのにマルトデキストリンのみを摂取することで、後にインスリンが急激に分泌され、遅れて低血糖が発生することがあります。このように本当に低血糖が生じていないのであれば、マルトデキストリンは逆に低血糖を招くリスクがあります。
肥満になったり、体重が増加したりする
折角ダイエットをしたいと考えて、筋トレを行い、マルトデキストリンを摂取する人にとってはとても悲しい安全性上の問題点かもしれません。カロリーを消費し、血糖値が低下した分をマルトデキストリンで補充するのが正しい使い方です。カロリー消費量を計算しないでマルトデキストリンのみを摂取することで、糖分だけをただ摂取している状態となり、逆に体重が増加したり、肥満になったりすることがあります。
糖尿病のリスクがある
体重増加や肥満のリスクと類似しておりますが、糖尿病が発症するリスクがあります。必要量以上のマルトデキストリンを摂取することで、急激に血糖値が上昇し、高い血糖値が維持されることがあります。マルトデキストリンは吸収が早いため、インスリンと呼ばれる血糖値を低下させるホルモンの分泌が追いつきません。そのため、血糖値が高い状態が維持され、その状態が続きますと糖尿病となってしまうリスクがあります。
小麦由来のマルトデキストリンにおけるセリアック病の心配について
アメリカで使用されることの多い小麦由来のマルトデキストリンは、グルテンによるセリアック病が懸念されるため表示が推奨されています。しかし、実際にはタンパク質はほとんど除かれているため、グルテンはほぼ含まれていなく、セリアック病の心配はあまりないと言われています。
マルトデキストリンのタイプ
インターネット上で発売されているマルトデキストリンは、マルトデキストリンのみを含むものや、プロテインなどと混合されているものなどがあります。マルトデキストリンのみのタイプでは、自分自身で摂取量の計算を行わなくてはならず、調節が難しいと考えられます。プロテインなどと混合されているものでは、製造メーカーが筋トレにおける消費量を考慮した上で、含有量の設計がされていると予想できますので、比較的安心して使用できるでしょう。
マルトデキストリンの価格
Amazonや楽天などのオンラインショップでは、100gあたり100-300円程度で販売されているマルトデキストリンが一般的でありました。マルトデキストリンは炭水化物であるデンプンから酵素によって生産されるため、主成分の中身や品質に影響を受けてマルトデキストリンの品質が変化することは考えにくいです。そのため、相場とはかけ離れて高価なマルトデキストリンの購入は費用対効果の観点からあまりおすすめできません。
プロテイン含有の場合は、マルトデキストリン以外にも様々な成分が含有されているため、価格がそれなりに高くなります。その場合は、類似品と必ず価格の比較をして極めて安かったり、極めて高いものは避けた方が良いでしょう。
まとめ
マルトデキストリンは「運動時のエネルギー補給に良い」「トレーニングの効果アップに良い」と言われていますが、人において十分な効果があると科学的な証明されている訳ではない点には注意が必要です。
サプリメントである以上有効性は担保されていなく、また有効成分に関しても科学的に十分なデータがあるとは言えない状態です。
マルトデキストリンは、適切な量を摂取する場合には健康上の問題はないと予想されます。一方、体が本来必要としている以上の量を摂取した場合には、肥満や体重増加、糖尿病のリスクがあるため、使用にあたっては注意が必要です。もし購入する場合は、こうしたリスクを考慮したうえで試されると良いでしょう。