マルチミネラルの危険性について【薬剤師執筆】

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マルチミネラルに副作用や取り過ぎた場合の危険性はある?

人間の生活に必須なミネラル(微量元素)をまとめて補充することができるサプリメントとして、インターネット上で注目されているサプリメントの一つにマルチミネラルがあります。日頃食事のバランスを気にすることができないくらい忙しい方や健康をとても気にされている方には、気になるサプリメントです。この記事では、マルチミネラルの成分は本当に安全なのか、効果は本当にあるのかということについて解説していきたいと思います。

 

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マルチミネラルについて

マルチミネラルとは、1日に必要なミネラル(微量元素)を一粒に配合したサプリメントのことです。マルチミネラルに含まれることの多いミネラルとしては、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、セレン、クロムなどがあります。サプリメントによっては、含まれているミネラルの成分が異なるため、サプリメントの成分表を確認することが重要です。

各ミネラルの役割について

ミネラルは成分毎にそれぞれの役割があります。各ミネラルにどのような役割があるのかを見ていきましょう。

カルシウム(Calcium)

骨や歯の形成と強化に不可欠であり、骨の健康を維持します。また、筋肉の収縮と神経伝達に重要な役割を果たしたり、血液凝固に関与し、出血を制御したりする役割を持ちます。

マグネシウム(Magnesium)

酵素反応の触媒として働き、多くの生化学的プロセスを促進します。体内のエネルギー生産に必要であり、体内の栄養源であるATP(アデノシン三リン酸)の生成をサポートします。筋肉および神経の正常な機能を維持し、心臓のリズムを調節したり、骨の健康に寄与し、カルシウムの吸収と代謝を調節したりする作用も持ちます。

鉄(Iron)

赤血球の形成に不可欠であり、酸素の運搬に関与します。鉄が不足することで十分な赤血球を生成できなく、貧血を起こします。免疫機能の調節にも関与し、抗菌作用を発揮します。

亜鉛(Zinc)

酵素の活性化に必要であり、細胞内の多くの生化学反応を促進する働きを持ちます。また、DNA合成と細胞分裂に関与し、成長と発育に重要な役割を果たします。他にも、免疫機能の強化に関与し、感染症への抵抗力を高めたり、傷の治癒を促進し、味覚や嗅覚の正常な機能にも関与したりする作用も持ちます。

銅(Copper)

多くの酵素の活性化に必要です。酵素は化学反応を促進し、体内のさまざまな生化学プロセスをサポートします。特に、エネルギー生産や鉄の代謝、抗酸化反応などの重要な機能に関与しています。また、鉄の吸収と利用を補助し、ヘモグロビンの合成にも関与します。皮膚、血管、骨、軟骨などの結合組織の形成と健康維持に重要な役割を果たしたり、細胞の損傷や老化を防ぎ、免疫機能を強化する役割を果たしたりします。

クロム(Chromium)

血糖を体の細胞に取り込む指令であるインスリンという物質の効果を増強する役割を持ち、血糖値低下に関与します。また、コレステロールの代謝にも関与します。適切なクロムの摂取により、コレステロールのバランスを調整し、心血管の健康をサポートすることが期待されています。

ヨウ素(Iodine)

甲状腺ホルモンの合成に必要であり、基礎代謝率とエネルギー生産を調節します。妊娠中には、正常な胎児の脳の発達に不可欠です。神経伝達物質の正常な合成と神経機能の維持にも関与します。

セレン(Selenium)

抗酸化作用を持ち、細胞を酸化ストレスから保護します。甲状腺ホルモンの代謝を調節し、免疫機能を強化します。他にも、生殖機能の維持にも関与し、男性の精子の正常な形成をサポートします。

モリブデン(Molybdenum)

酵素の一部として働き、アミノ酸の代謝、尿酸の分解、解毒反応を促進します。また、窒素の代謝やDNAの合成に関与し、生体内プロセスの調節を支援します。

ミネラルを補充することで、これらの本来の役割を果たすことができ、健康の増進に貢献することができます。

ただし、サプリメントは原則的に食品であるため、薬のように効果や効能を宣伝することができません。各ミネラルもあくまでもサプリメントであるため、効果を記載することができないのは当然です。
マグネシウム・銅・亜鉛は、サプリメントの中でも機能性表示食品と呼ばれるものに分類されておりますので、各成分が持つ機能は表示して良いこととなっています。

安全性は問題がなく、大丈夫なのか?

ミネラルは体が必須としている栄養素であるため、基本的に安全性は高いと考えられています。一方、どんな成分でもそうですが、過ぎたるは及ばざるが如しと言われるように、過剰な摂取は問題が生じます。各ミネラルの過剰症をみていきましょう。

カルシウム過剰症

カルシウム血中濃度が上昇し、症状としては体のだるさ、食欲不振、便秘、尿路結石、腎機能障害などが現れることがあります。

マグネシウム過剰症

マグネシウム血中濃度が上昇し、症状としては下痢、吐き気、嘔吐、筋力低下、低血圧、心臓リズムの異常などが現れることがあります。

鉄過剰症

鉄血中濃度が上昇し、症状としては腹痛、関節の痛み、疲労感、皮膚の色素沈着、肝臓の機能障害などが現れることがあります。

亜鉛過剰症

亜鉛の過剰摂取により胃腸の不快感や胃痛が現れることがあります。また、吐き気や下痢が起こることがあります。

銅過剰症

銅の過剰摂取により胃腸の不調、吐き気、嘔吐、下痢が現れることがあります。また、肝臓の機能障害が生じることもあります。

クロム過剰症

クロムの過剰摂取により胃腸の不調、胃痛、下痢が現れることがあります。クロムの過剰摂取によってアレルギー様の反応が現れることもあります。

ヨウ素過剰症

ヨウ素の過剰摂取によって甲状腺の機能が亢進し、症状としては不安感、多汗症、心悸亢進、体重減少などが現れることがあります。

セレン過剰症

セレンの過剰摂取により胃腸の不快感、胃痛、下痢が現れることがあります。また、皮膚の異常、発疹、かゆみが生じることもあります。

モリブデン過剰症

モリブデンの過剰摂取により、消化器系の不快感や神経系の異常が生じる可能性があります。

マルチミネラルの価格

Amazonや楽天などのオンラインショップでは、1日あたり10-30円程度で販売されているマルチミネラルが一般的であり、比較的安価に手にいれることができるサプリメントです。マルチミネラルはミネラルを合わせたサプリメントであるため、価格により各ミネラルの品質が変化することは考えにくいです。そのため、「高額なマルチミネラル=成分として優れている」というわけではないため、相場とはかけ離れて高価なマルチミネラルの購入は費用対効果の観点からあまりおすすめできません。
1日あたりのミネラル摂取量が適正な量であるかは確認した方が良いでしょう。特に、外国製で格安なものは、日本の基準に合致していない可能性もあるため、注意が必要です。

まとめ

マルチミネラルはカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、セレン、クロムなどを含むミネラルのサプリメントです。
あくまでも食品ではありますが、機能性表示食品として、各ミネラルの体の中での機能を表示することができます。効能や効果ではありませんが、使用する際には参考にすると良いと考えられます。
マルチミネラルは、適切な量を摂取する場合には健康上の問題はないと予想されます。一方、体が本来必要としている以上の量を摂取した場合には、
吐き気、嘔吐、胃部不快感、下痢などのリスクがあるため、使用にあたっては注意が必要です。もし購入する場合は、このようなリスクを考慮したうえで試されると良いでしょう。


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